大人になれるまで

白い円と申します

しっくりこないデー

大学生の頃に書いた文章です よかったら読んでね

しっくりこないデー

何をしてもしっくりこない、という日がある。

とりあえずコーヒーを飲んでみる、ううん、コーヒーの気分じゃなかったな。煙草を吸ってみる、ううん、あんまりおいしく感じないな。お酒を飲んでみる、は駄目か、まだ昼間だ。もしかしたらお腹が空いているのか? ご飯を食べてみる。違うなあ。チョコレー トも違う。本を開いてみても文字に集中できない。聴きたい曲も決まらない。ううん、ううん、何をしてもしっくりこない。地獄だ。


せっかくの休みなのに全く気分が休まらない。昼寝しようと試みても睡魔はいっこうに姿を現さない。睡魔というものはどうしてこういう肝心な時に隠れてしまうんだろうか。自分以外の人たちはこういう時どうやって一日をやり過ごすのだろう。もしかしてこんな「しっくりこないデー」が存在するのは私だけなのか?ぞっとする。まさかみんな毎日自分自身が求めているものがはっきりとわかっていて、それに従って行動をしているというのだろうか。

すごい、人生の優等生だ。そうすると私は人生の劣等生か。じつに恐ろしい。

とにかく私は私自身が何を求めているのか全くわからない。

ぐずる子供を前にオロオロと困惑しているような感覚だ。何をすればいいのかわからない。何もしないという選択もなんだか違う。とにかくしっくりこない。「今日この世界におまえの居場所はない」と天からの声が降ってきているように思える。ううん、誰か助けて。

誰に助けてと言えばいいのかもわからない。本当に地獄だ。地獄ってこんなものなのかなあ、とすら思えてくる。もし透明人間になってみたらこんな感覚を味わうんだろうか。透明になってみても特に何をしても楽しくない、何をするべきかわからない。時間だけはある。苦しい。1人でいるのがまずいのか、と喫茶店に行ってみた。常連さんとママが親しそうに会話を交わしている。まるで私などここに存在しないかのように。つらい。コーヒーをずごごごと飲み干して急いで店を出る。行き場がない。息ができない。苦しい。苦しい。苦しい……

 

その後なんとなく立ち寄ったコインランドリーにて両替機を前に顔をしかめているお婆ちゃんに出会った。
私「どうしたんですか」
婆「五百円入れたんやけどね、お金が帰って来んのや」
私「ああ、それならここのレバーを押したらお金が出てきますよ」
じゃらじゃらじゃら。
婆「ほんまや。おねえちゃんありがとうねえ」
私「いえいえ」
......。あれ、なんだか気分がすっきりした。どうやら今日私が欲していたものは「他者との会話」だったのだろうか。

 

 この文章をとある男の子(セフレ)に見せたら電話がかかってきました。優しい。