大人になれるまで

白い円と申します

ブロンの始まりから終わり

3年間飲み続けていたブロンをやめた

 

まず何故ブロンを乱用するようになったのか。それは大学生だった(ブロン中毒の祖こと中島らもも通っていた大阪芸術大学)ころのこと。同じサークルの女の子がブロンにはまっていたという過去を知り興味本位で手を出したのがきっかけであった。

 

初めてのブロンの感覚は今でも忘れられない 20tぐらいで脳がシャッキリしてハイになってその後は幸せの水に浸っているかのようなトロトロとした時間を過ごす。私はこれを「幸せの膜」と呼んでいた。

 

ブロンについての思い出は数え切れないほどにある

 

まずは大学生(一人暮らし)だった頃の思い出

鬱で大学に行けないけれどチームのリーダーを務めていたからどうしても出席しなくてはならず、ブロンを爆飲みしてふらつく足取りで教室に向かったこと。当時バイトしていた和菓子屋さんでジジババ相手に「春が近づいてきましたね〜」なんてほのぼの接客トークをする為にブロンを飲み散らかしていたこと。助けてくれの気持ちになった時にブロンをグレープフルーツジュースで流し込んで神聖かまってちゃんの「友達なんかいらない死ね」を聴きながら布団の中で「助けてくれえ〜!」と叫んでいたこと。etc…

とにかく大学時代はブロンに夢中だった。ブロンを安く大量に仕入れる為ならなんでもやった。何時間も自転車こいで薬局を巡る「メンヘラトライアスロン」に何日費やしたことか。ブロンの空き瓶を灰皿にして「この世の終わりやんけ」とか言われてガハハと笑っていた。同期の男の子に「ブロン子」ってあだ名をつけられた。

 

自殺未遂大学中退実家強制送還後の思い出

実家ではブロンを飲まんとくぞという謎の決心をしていた。だが、何よりも自分に甘い私のことだから時々親のいない時に飲んでいた。実家ではブロンより何より酒が救いだと思っていて酒ばかり飲んでいたので正直あんまりブロンの思い出がない。強いて言えば神聖かまってちゃんのライブに行く時に40tほど飲んだくらい。あでも両親が離婚するとかでなんとなくホームレスになった時は毎日飲んでたな。寝ぐらがあるところが薬局たくさんある商店街の近くだったから入手には困らなかった。

 

恋人(今の夫)と暮らし始めてからの思い出

ホームレス生活を終えて、晴れて恋人との同棲生活。今までに経験のないことばかり。しかも関西→北陸というなんとも遠い地。最初の頃は荷ほどきや市役所での手続きやなんやで気が紛れていたのだがそれらが終わった頃には暇で暇で仕方ない日々がやってきた。ちゃんと家事とかはしてたよ。

ほんで、そろそろ就活するか〜と思い腰を上げ向かったのは市役所。臨時職員の求人が出ていたのだ。ここら辺から私のブロン乱用に拍車がかかる。

面接試験はもちろんブロンを突っ込んで挑んだ。採用されたけど配属された課には私の仕事なんて雀の涙ほどしかなかった。とりあえず様子見でシラフで働いてみる。暇、暇。役所で働いててこんなに暇なことあるんだ。私に与えられた仕事は朝のお茶沸かしと少しの雑務だった。

そんなこんなでのらりくらり市役所で働いているうちにあるニュースが飛び込んできた。好きな漫画家の死。もう耐えられなかった。今日はシラフでは働けない。ブロンを飲む。恋人にバレないようにこっそり飲む。その時のラインを読み返すと友人何名かに「おれが世界救わんかったら他に誰が救うねん」などとエフェドリンブチ上がり丸出しメッセージがあった。それは確かにそうなんだけど…。

 

ここからが本番って感じがする

市役所の近くには某激安薬局があり、毎日買って帰る。翌朝「底」代わりになんか食べてからブロンをかっこむ。30錠は余裕で飲み込めるようになっていた。記憶が曖昧なのだが多分市役所で働いていた半年間のうち4分の3くらいの時間はラリっていた(’’本当にラリる’’ほどには飲んでなかったが)だって暇なんだもん。「そこの善良な市民よ、おれは今カウンターの向こう側で静かにラリっているぞ」と不適な笑みを浮かべていた。

ブロンのおかげで仕事が捗る。課員とのコミュニケーションも円滑に取れ(ていたはず)契約が切れるまでの4ヶ月間はとうとう毎日ブロンを乱用するようになった。(この辺で結婚した)市役所近くの行きつけの薬局のかろうじて日本語が通じる店員に「飲み過ぎ注意してくださいね」とか言われるようになった。うるさい黙れ。これがないと働けないんだよ。

 

専業主婦とブロン

とうとう市役所の契約も切れ、専業主婦となった私は毎日どこに行くわけでもないのにブロンを毎日かっこむようになった。夫にブロンのことをカミングアウトすると「おれアマゾンプライム会員だから入手手伝ってあげるよ」と言われ(いや普通やめさせようとするだろ)二人三脚でのブロン入手の旅が始まった。あまり同じところばかりで買うとマークされるから遠出ついでに薬局に寄って購入する。アマゾンでも買う。新品未開封のブロンが2箱は常備されていないと不安になる日々を過ごしていた。

 

そんな日々を、過ごしていた。

……

 

このままではお金が尽きてしまう。市役所で受けた健康診断の結果だって最悪で精密検査を受けろってお達しが来た。あと最近ブロン乱用のニュースがちらほら取り上げられていてこのままではもっと規制がかかってブロンを買うことが困難になるだろう。

 

よし、辞めるかあ

 

断薬

よし、やめるかとなってからは早かった。本当にその日から1錠も飲まない生活を送ることにしたのだ。だんだん量を減らすって手もあったちゃあったんだろうけどその間に飲んでるブロンに失礼な気がして、いきなり断った。

するとまあ、身体のだるいこと。幸い私はブロンには精神的依存はしてなかったっぽいのでこの怠さと無気力感と体力低下(全部一緒か)と下痢に耐えればいい話だった。

しかしあまりの元気の出なさに不安を感じ、何か処方薬の中で元気の出るおクスリはないかと部屋中をひっくり返して探した。あった。あるんだね。昔夏バテ防止に出されてたツムラの漢方「補中益気湯」。この漢方とデパスとかワイパックスとかソラナックスとかでごまかしつつ身体的依存を取り払おうという策略だった。下痢はどうにもならん。

 

そんなこんなで断薬2週間が経とうとしている。今日はNA(AAの薬物依存版)があって行くつもりではあったんだけどなんか怖くて(「ブロン中毒とか笑」って笑い者にされたら怖いやん)行ってない。

先に言っておくが私はきっとスリップする。NAはその時行こう。

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以上